アニメの空手考察②『名探偵コナン』京極真の空手
お疲れ様です、空手ひでです。
今回も『名探偵コナン』の空手家を取り上げます。
作中最強の空手家、
京極真です。
今回も叩くのか?
アラがあるのは確か、です。
ですが。
①バトルシーンはアラがほぼなく、所作に間違いがそれほどない。
というのも、稽古の様子や戦いが終わりました!みたいに残心のシーンを描いていないからだと考えます。
京極真の戦い終わりのシーンですが、
1.腕に刺さったナイフを抜く。
2.犯人を蹴り終わった後、園子の話を聞く。
3.SPを腰砕けにした後、気をつけをして、次郎吉との面会を請う。
4.やの字を全滅させた後に木に寄りかかる。
5.キッドに奪われた宝石をキャッチする。
6.試合で突き終わり、残心は取らず、無構えに。
7.園子を探しに店外へ。
8.園子を背負って残心(突手はそのまま、引手は園子と繋いでいる)。
とまぁ、
1〜5のTV本編では突っ込む要素があまりない。
6〜8は映画、『紺青の拳』内のシーンですが、
あえていうなら、7は残心なのか、という残心の定義に関する疑問になります。
残心とは受けの姿勢、
と私は蘭の項目で書きました。
>残心とはそもそも、
相手を倒した後、反撃を許さない心構えであり、身構えであります。
ですので、フルコンタクト空手の組手試合では相手を倒した後に受けの動作を行います。
確かにその通りですが、
残心を決めた映画では、
とある事情で園子がおぶさっています。
ということは、自らが受けの姿勢を取ると、次は攻撃をせねばならない。
守るものがまだ背中におぶさっているのであれば、逆に攻撃の構えをしておき、
相手の攻撃を必ず受けてから、
攻めに転じる必要があるだろう。
と解釈できなくもありませんw
生のインタビューなんて取りようがないしね。
だってアニメキャラなんだから。
②映画の試合についても、実は元ネタがなくはない。
SNS上でよく聞くツッコミがこれです。
映画『紺青の拳』でのこと。
シンガポールの大会では、KO有りのフルコンタクト空手ルールと思しきものなのに、
なんと選手は全空連式の拳サポを着けていました。
これに対するツッコミは多数あるでしょう。
拳サポつけたフルコンタクト空手の試合があるかあああ!フルコンタクト空手は素足裸拳じゃ!徒手空拳じゃあああ!
確かに、2018年12月末日くらいまではそうでした。フルコンタクト空手は素足裸拳で戦うもの。一部ボクシンググローブをつけるところもありますが、大体は防具は何もつけません。
確かにそうなんですが、
答えはこうです。
そういうルールは、ありまあああああす!
あるんです、実は。
『紺青の拳』公開前。
2019年2月、国際正道というもともと正道会館と言われていたフルコン空手の流派が作り道場内で実践し出した、「フルコンplus」というルールですね。
従来のフルコンとのルールとも一線を画します。
「(1) 上段中段への直突きクリーンヒットさせた場合は有効ポイント1。
(2) 中段への突きがクリーンヒットした場合も有効ポイント1.
(3) 膝蹴りを除く中段蹴りをクリーンヒットさせた場合は有効ポイント2。
(4) 上段への蹴りをクリーンヒットさせた場合は有効ポイント3
(5) 瞬間的な崩し、投げ、足払いや蹴りなどで相手を転倒させ下段突きを寸止めで決めた場合は有効ポイント3。
(6) 上段突き等、試合で認められた技で相手がダウンした場合、戦意喪失した場合はポイント8、一本勝ちとなる。
(7) 8ポイントで一本となる。
(8) 延長戦は、先に反則すれば減点で即座に負け、先に技を決めて得点すれば勝ち、勝敗が決まって試合が終了する。
そして(1)の「直突き」に関しては、改革が開始された現時点におけるルールであり、今後、フック、アッパーなども許可される方向」であるとのことです。
となるのであれば、
シンガポールのあの大会では、
京極は初戦の相手を突きで吹き飛ばし、
おそらくはダウン、KOさせ、
ジャマルッディンは対戦相手を尽くKOしていました。
ただ、京極の立ち方は騎馬立ちでした。
足を肩幅の2倍広げて、腰を落とします。
基本の立ち方で、組手にはあまり使用されません。
応用して縦横逆にして、ステップすることはありますけど、そのまま使用できるのは押忍!空手部の高木義志くらいですよ。
現実にはそのまま組手で使う人はいない、やらないってことです。
まぁ、ノックアウトされる方が悪いんで、
試合を決めたのがその立ち方ならば、文句はありません。
やられる方が悪いんで。
ならば、このルールにも沿うし、オッケーですね。結果的には。
何でそういう皮肉めいた事をいうのか、ですが、僕はこう思います。
③話の構成と空手の浅い理解が功を奏した部分が多少なりともある。
なぜ京極真は所作を間違えにくいのでしょう。
その理由として挙げるなら、
こうです。
ストーリーの都合上、格好良く決めるのは蘭の方にしておきたいから。
ポーズなどをせず、
さっさとストーリーを進める方が主人公達の方が際立つため。
1〜5を見て下さい。
戦い終わったら、即おしゃべりが始まったり、どっか行ったり場面転換するでしょ。
多分残心とか必要ないんです、彼には。
さらに恐らくはコナン陣営の空手の理解はこんな感じです。
とにかく白い道着を着て殴る蹴るが空手。
↓
カッコいいアクションを空手としてマンガ、アニメに反映。
しかし蘭を格好良くさせようとしたが、
残心などの所作が壊滅的にダメになってしまった。
↓
映画『漆黒の追跡者』を作る時にようやっと空手の監修を入れる。
↓
色々調べているウチに空手着と柔道着の違いや空手らしい動きにやっと気づく。
↓
エピソードONEでは全空連を参考にしただけあって、空手の試合はよく描かれていた。
しかし、今まで空手界全体の構成を見ずに下手な解釈を用いたため、
蘭がフルコンタクト空手で稽古する理由、胴廻し回転蹴りを習得する理由などが薄れてしまっている。
↓
そして油断するとこーなる。
↓
フルコンplusが世に出たのは2019年初頭。
コレに作画や構想が間にあったのか?
間に合っていないなら、こんなうがった見方ができます。
エピソードONEは2016年の作品です。
紺青の拳が2019年4月公開、2018年にはタイトルは公開されているわけですから、
多分、エピワンの翌年あたりから構想としては紺青の拳の原案くらいはあるわけですよね。
となるのであれば、
多分フルコンplusルールは企画から作画段階では存在しないでしょう。
さらに、
うがった見方をするとこうなります。
シンガポールの大会ルールが、
フルコンplusに合致したのは単なる偶然。
となると、映画監督はじめ、作画に関わる方が考えていたのでしょうか?
京極真の試合についてだけど、
全空連って拳サポ着けるから、
エピワンの前列踏襲して、
京極も試合ではめりゃいいっしょ!
フルコンタクト空手の形式?
知らん知らんw
これなら僕は許せませんね。
でも、
全空連の試合で拳サポ着けてるし、
KO有るけど安全性が高い、
キックボクシングとは少し遠い空手のルールがあってもいいんじゃないか?
子どもたちも観るし。
という観点で作られたのでしたら、
なるほど申し訳ありませんでしたと思います。
これらを踏まえて、
京極真の空手を評価してみます。
星5つを最大とするならば。
④まとめ:星3つですッッ!
ハッキリ言いますが、
バトルシーンは本当に申し分ないです。
これが前半ですが、
基本的に遠距離で
上段廻し→中段突き→キッドの蹴りを受けて、
トランプ銃を掻い潜りボディへの後蹴りか下段後ろ廻し蹴りと見せかけ、
トランプ銃を上段後ろ廻し蹴りで弾く。
昔、フグ・トルネードってありましたね。
上段後ろ廻しの様に身体を立てておいて、回った直後は後ろ廻し蹴りに変化する。
アンディ・フグの得意技。
あれの逆ですね。
フェイント付き下段後ろ廻し蹴りを昔、ゴング格闘技という雑誌で、
フグ・トルネードαと言っていましたが、
とするならば、
その逆をいくこの技はフグ・トルネードβといいましょうか。
さらに中段突き。
松濤館の不動立ち(壮鎮立ち)に近い立ち方で縦拳ですが、いいじゃないですか。
ダメージ当たれば。
だって、
フルコンタクト空手なんだから。
更に遠距離の攻撃では当たらないと踏んだのか、近づいて逆突き二連続+上段廻し蹴り。
セオリー通りだと思いますよ。
間を詰めて二発目の突きを打ち下ろし、
上から下への攻撃と見せて左ハイ。
多分、体力がある状態で跳びながら自由に動くキッドを下段廻し蹴りじゃ捉えきれないもんね。
だからガードする攻撃を出し、相手の体力を削る。
バトルシーンは大好きです。
だからこそ、
小さな間違いを堂々とやられると最高に腹が立つわけですが。
だからこそ、
青山剛昌先生にはこう申し上げます。
「もっと空手を勉強してください」、と。
以上です、押忍。
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